経済インサイド

スーパーのレジで現金が引き出せる デビットカードの新サービスは果たして日本に根付くのか?

 また、金融機関はデビットカードの加盟店とキャッシュアウトの事項を盛り込んで契約し直す必要もある。スーパーなどの加盟店にとっては「新たなサービスが集客につながるかもしれない」と期待する声がある一方で、店員の手間が増えたり、レジに現金を引き出そうと多くの利用者が並んで買い物をする客に迷惑がかかってしまうとの懸念の声もある。店側の手数料負担や防犯上のリスクの増加などもあり、契約更新が円滑に進むかは不透明だ。

 キャッシュアウトの仕組みができれば、デビットカードはますます利便性が高まるが、「欧米に比べ、デビットカードが利用されていない状況を勘案すると、あまり使われないのではないか」(関係者)との指摘もある。個人消費に占める決済手段の割合はクレジットカードでも14~15%、デビットカードに至っては1%未満で、日本は現金で支払う習慣が根強い。加えて「スイカ」などの電子マネーの普及も始まっている。

 あまり使われなさそうであれば、小売店などにとっては導入するメリットを見いだしにくいのも事実だ。日本でもキャッシュレス化はじわりと進んではいるものの、キャッシュアウトが手軽に利用されるような土壌ができるまでには、もうしばらく時間がかかるかもしれない。(万福博之)

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