元露スパイ毒殺事件

猛毒ポロニウムはロシアの核閉鎖都市で製造されていた…暗殺国家の闇を浮き彫りにした戦慄の英報告書

 リトビネンコ氏と連絡を取り、FSB関与疑惑を調査した野党のユシェンコフ下院議員は2003年4月、射殺されている。

 また次期大統領候補といわれたレベジ元安保会議書記もアパート連続爆破事件は「治安機関が関与している疑いがある」と発言して、ヘリコプターが突然墜落する不審な事故で死亡している。

 99年にモスクワに赴任していた筆者も第二次チェチェン戦争の引き金となったアパート連続爆破事件がチェチェンのテロと結論付けることに疑念を抱いたことを覚えている。あまりにも証拠に乏しく唐突に思えたからだ。ロシアの暗殺を巡る闇は深い。

ポロニウム210 ポーランド出身のノーベル物理・化学賞受賞のキュリー夫人が1898年に発見した放射性物質。ポーランドのラテン語が語源になっている。強い放射線を出すとされ、放射性元素の中で最も有毒とされている。

リトビネンコ事件 プーチン政権を批判していたロシア連邦保安局(FSB)元幹部のアレクサンドル・リトビネンコ氏が2006年11月、亡命先のロンドンで急に体調を崩して死亡。体内から放射性物質ポロニウム210が検出され、毒殺されたことが判明した。英検察当局は翌07年5月、ロンドンでリトビネンコ氏と接触した旧ソ連国家保安委員会(KGB)元職員の実業家、ルゴボイ容疑者の犯行と断定したが、ロシア政府は身柄の引き渡しを拒否している。

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