【話の肖像画】噺家・柳家小三治(1)いまを生きる(1/3ページ) - 産経ニュース

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話の肖像画

噺家・柳家小三治(1)いまを生きる

(宮崎瑞穂撮影)
(宮崎瑞穂撮影)

 人間国宝をもらったからって芸が変わるわけじゃない。いやなんだ、ああいうの。好きじゃないんで、はじめは断ったんですよ。でもお願いしますよって言われてね。だから、何の心も揺るがなかったね。芸には関係ねぇやって。昔から、肩書には興味ないですから。そもそも、人間国宝ってもっとすばらしい立派な人がもらうものだと思っていましたので、私には似合わないってことかな。

 〈重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されてから早1年余り。名人を多く輩出してきた落語界だが、人間国宝は師匠の五代目柳家小さん、三代目桂米朝に続き3人しかいない〉

 実は、私は親父(おやじ)から何でも日本一になれ、と教育されてきました。ばかじゃねぇか。そういう競争や出世に背を向けたくて噺家(はなしか)になったんですよ。そう、例えば日本一になったとしたら私はおしまいなのかっていうと、そうじゃないでしょ? 目指すなら宇宙とか、そこはかとなく大きなものに向かって翼を広げてっていうならば、いいなって思います。ライバルはいつも自分だって思っているんで。誰かを追い越せ、じゃなくて、自分を追い越してその上へいきたいですね。