複眼ジャーナル

21世紀のラッダイト運動 共有経済は「労働者壊す」

 新著「不当な仕打ち」を宣伝するために、米作家のスティーブン・ヒル氏がマンハッタンを訪れた。新著では、ヒル氏が住む西海岸のサンフランシスコを本拠地とする新興企業2社、配車サービス会社ウーバー・テクノロジーズと宿泊施設仲介のエアビーアンドビーの台頭が国民生活に与える影響を描写した。

 ウーバーは携帯電話のアプリでタクシーを仲介するサービス。エアビーアンドビーはネット経由で宿泊者に空き部屋を紹介する。「専業者の排除とビッグデータを駆使した経営手法」(ヒル氏)が共通項だ。

 ウーバーの運転手に固定給はないが、自分の好きな時間に顧客を乗せて収入を得る。乗客にとっては予約が簡単だし、近辺を走っているタクシーや顧客数の需給次第で、事前に目的地までの運賃が分かる。

 エアビーアンドビーは、自宅を留守にする一般人が部屋の提供者だ。通常のホテル宿泊料は硬直的だが、エアビーアンドビーを利用すれば、部屋の持ち主の意向で柔軟に条件が決まる。

 遊休資産や空いた時間を他人と分かち合う「シェアリングエコノミー」(共有経済)を可能にしたハイテク企業の代表格なのだが、ヒル氏は批判的だ。「破壊的な経営モデルが労働者の生活も破壊した」

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