巨額の財政負担増
もちろん補助金の原資は税金であるため、最終的にはすべての国民に負担増がのしかかることになる。米議会予算局(CBO)によると、16年から10年間のオバマケアのための財政負担増は1兆3500億ドル(約158兆円)に達する。小さな政府を志向する共和党支持者の間で、政府が大きな役割を担うオバマケアへの人気が低いのは当然ともいえるだろう。
このため大統領選で共和党からの出馬を目指す候補者たちは「オバマケア廃止」で一致している。支持率でトップを走る不動産王、ドナルド・トランプ氏(69)は14日のサウスカロライナ州での討論会で、「医療保険制度はホラー映画のような状態だ。オバマケアを廃止して別の制度に置き換える」と宣言。マルコ・ルビオ上院議員(44)も「大統領になればオバマケアを排除する」とアピールした。
11月8日の大統領選挙で共和党の候補者が勝利すれば、オバマケア廃止への動きが加速することは間違いない。ただしCBOはオバマケアが廃止された場合は無保険者が2200万人増えるとも予想しており、オバマケア廃止が現実味を増せば、反動でオバマケア存続論が高まる可能性もある。(小雲規生 ワシントン支局)