《「イヤな時代をどう押し返すか」とのテーマでパネルディスカッション》
【山口二郎・法政大教授】
「私たちは今、不本意だが、安倍時代に生きている。安倍時代とは今までの時代と全然違う。憲法違反が当たり前だ。政治で言葉が意味を失うとか、政治家が人間としての品位、品性、常識を一切失うとか、めちゃくちゃな状況だ。しかもその状況に怒らない人が国民の半分ぐらいいるという大変嫌な状況だ。これをなんとかしないといけないという思いで議論したい」
「私たちの自由を浸食していく、個人の多様性や個人の自己決定を押しつぶしていく動きが進んでいる。夏の参院選で自民党の楽勝を許したら、ポイント・オブ・ノーリターン、後戻りできないところを過ぎてしまうのではないか。過ぎたら、どんなにあがいても自由と民主主義と憲法は取り返せないという状況に来ているのではないか。2016年は決戦だということでテーマを掲げた。イヤな時代をどう押し返すかについて話してほしい」
【映画監督・森達也氏】
「1995年のサリン事件の後をみていると、ほぼ予想できた。言い方を過激にすれば、オウム(真理教)の中で起きていたことが、この国、社会全体に起きている。言葉にすれば集団化だ。全員がまとまろうとする。依拠しようとする傾向がとても強い。その過程の中で、そうした動きに同調しない者はドンドン排除する。集団化したら、外部に敵を作りたくなる。敵を作った瞬間に全体が連帯できる。そういう状況が今進んでいる」