軽井沢スキーバス転落

「痛い」「助けて…」 3本の119番通報を受け、駆けつけた救急隊員が目の当たりにしたのは…

【軽井沢スキーバス転落】「痛い」「助けて…」 3本の119番通報を受け、駆けつけた救急隊員が目の当たりにしたのは…
【軽井沢スキーバス転落】「痛い」「助けて…」 3本の119番通報を受け、駆けつけた救急隊員が目の当たりにしたのは…
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 長野県の佐久広域連合消防本部に、立て続けに3件の119番通報が入ったのは、15日午前2時4分のことだった。

 「バスの中で寝ていたのに、気づいたら森の中にいるみたいだ」

 「バスが横転したみたいだ。周りが暗くて見えない」

 「けが人がたくさんいる」

 いずれも携帯電話からの通報だった。だれも自分がどこにいるのか説明できなかった。発信場所が軽井沢町の道路沿いだと特定したのは、同指令センターが昨年4月に導入したばかりの、発信者の端末にあるGPS機能を利用した通信システムだった。担当者はすぐさま、最も近い軽井沢消防署から救急隊を出動させた。

 10分後の同2時14分、指示された場所に到着した救助車両のヘッドライトが照らす先に浮かび上がったのは、見る影もなく大破したバスの先頭部分だった。

 隊員がライトを照らしていくと、バスは横倒しになりガラスが粉々に砕け散っていた。

 バスの前に1人、横に1人が横たわっている。自力で脱出し、動ける状態の数人がバスの上にのって手を振り救助隊を呼んでいた。

 右側を下にして倒れ、天井部分が立ち木に衝突し「くの字」に折れ曲がる車体。隊員が暗闇のなか、散乱する乗客の荷物や外れた座席などをかき分けて車内に入ると、折り重なり血まみれになった乗客がライトに照らされた。

 「痛い…」「助けて…」

 苦しそうな声が聞こえてきた。運転席では座席とハンドルに挟まれた男性が、まったく動くそぶりがなかった。

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