先に来日した英国のマイケル・ファロン国防相は多忙な日程の中、日本の新聞社の論説委員らを夕食会に招いて日英両国間で進む防衛協力や国際情勢について意見交換をした。英国防相が日本の新聞社に接触するのは異例のことだ。中国への傾斜を強める英国への不信感が日本で募る中、英国はどんなメッセージを日本に伝えたかったのか。(内藤泰朗)
「招かれなかった」
東京・半蔵門の駐日英国大使公邸でファロン国防相との「特別夕食会」が開かれたのは9日夜。それに先立ち行われた日英防衛相会談で両国は、航空自衛隊と英空軍が共同訓練を行うことなどで合意した。
ファロン国防相、空軍など英国防省の最高幹部のほか、ヒッチンズ英国大使らが、在京の主要新聞社、通信社の論説委員ら7人を歓待。カクテルに続いて夕食会は始まった。食事をしながらの質疑応答だった。
昨年10月に習近平・中国国家主席が英国を公式訪問し、中国傾斜が進む英国に懸念の声が日本で上がっている点など、中国問題が話題となった。
「日本は中国との貿易を拡大させている」。国防相はこう指摘し、英国の対中関係も経済が中心だと強調した。そのうえで、中国の防衛当局との間に深い交流はなく、習主席を歓迎する英王室主催の公式晩餐会にも招かれなかったエピソードを披露した。