昨年末、日韓両政府は慰安婦問題を「最終的かつ不可逆的」に終焉させることに合意し、それを米国政府が裏打ちすることで、日米韓三国関係強化への布石が打たれた。今年1月6日に北朝鮮が行った核実験は、それに刺激されて国内を鼓舞するために行った示威行動なのではと思えるようなタイミングだった。国際社会が北朝鮮を非難し、経済制裁強化を検討するなかで中国の消極的な姿勢に対しケリー米国務長官が「中国は機能していない」と不満を表明した。
見えない国際社会の構図
東アジアでの軍事的・経済的覇権を目指す中国にとって、対米緩衝地帯である北朝鮮の存続は必須である。だから形だけは国際世論に同調しつつも、北朝鮮に実害を与えない対応となる。それは自衛隊機の緊急発進が急増し、尖閣諸島周辺での領海侵犯が繰り返され、国際法などどこ吹く風と南沙諸島の軍事基地化が進められている事実と軌を一にするものだ。