飲み水に鉛混入、子供の血中から高濃度 米ミシガン州、大統領が非常事態 「飲めない水」に請求書で怒り心頭

 【ニューヨーク=黒沢潤】財政難にあえぐ米中西部ミシガン州フリントで飲料水に鉛が混入していることが判明し、オバマ大統領が非常事態宣言を発令した。子供の血液中からは高濃度の鉛が相次いで検出され、住民が激しく抗議している。

 フリント(人口10万人弱)はこれまで五大湖の一つヒューロン湖から水を引いていたが、2014年4月、地元フリント川から取水するシステムに切り替えてコスト削減を図った。

 その約1カ月後、住民からは「水から異臭がする」などの苦情が殺到。川の汚染が予想以上にひどく、市内に敷設された水道管から鉛が溶け出す事態になっていたが、当局は昨年10月まで川の水を使用し続けた。

 現在、市内ではヒューロン湖の水が使われているが、鉛濃度はそれほど改善されていないという。鉛中毒は脳障害など深刻な健康被害を引き起こすため、子供約9千人の健康を懸念する親たちが当局を激しく批判。州議会議事堂を取り囲んでデモを繰り広げているほか、訴訟も起きている。

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