【新元素113番の輝き(上)】ドンペリをたたき割り実験続行「魔の7年間」乗り越え、日本が露米に逆転勝利した真相とは(3/6ページ) - 産経ニュース

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新元素113番の輝き(上)

ドンペリをたたき割り実験続行「魔の7年間」乗り越え、日本が露米に逆転勝利した真相とは

チームを襲った疑心暗鬼

 実験は原子核の衝突エネルギーを厳密に制御しないと成功しない。「やり方が間違っているのでは」と指摘する声も上がり、チームを疑心暗鬼が襲う。分析を担当した森本幸司氏(48)は「不安で重圧に押しつぶされそうだった」と打ち明ける。それでも森田氏は「われわれは間違っていない」と確信し、同じ条件で実験を続行した。

 東日本大震災では電力不足に陥ったが、非常用電源で実験を継続できた。チームの熱意にほだされ、他の研究者が電力を譲ってくれたからだ。基礎研究にじっくり打ち込むことを許容する理研の風土も味方した。

 ただ、成果が上がらない実験をいつまでも続けるわけにはいかない。装置の総工費は73億円。実験費用は電気代を含め9年間で3億円に達していた。実験は24年10月1日に打ち切ることが決まった。

 残り2カ月を切った8月12日。幸運が突然、訪れた。より信頼性が高く、勝利の決定打となった3個目の合成に成功したのだ。