正論

ゴリラは「父親」がいるが、チンパンジーはいない…人間はどのようなサルなのか? 動物行動学研究家・竹内久美子

動物行動学研究家でエッセイストの竹内久美子さん(提供写真)
動物行動学研究家でエッセイストの竹内久美子さん(提供写真)

 ≪類人猿へのアプローチ≫

 1956年、申年生まれの私は今年、還暦の年女である。既に何回も年女を経験したが、特に感ずることはなかった。しかし今回だけは違う。還暦とはなるほどこういうことかと思い至ったからだ。

 12歳、24歳のときにはとにかく経験不足。36歳のとき。ようやく経験がともなうようになった。48歳のときには、気力の衰えを感じつつもまだ何とかいける感じは残っていた。

 そしてもうすぐ60歳。気力の衰えについては認めざるを得ないが、積んだはずの経験さえも今の時代に通用するのだろうか、と疑う日々…。「40にして惑わず」のはずが、「60になると惑ってしまう」のだ。さまざまなものがリセットされ、文字通り干支が一回りした感じだ。

 私が2回目の年女だった24歳頃から勉強し後に仕事としたのは、人間も含めた動物の行動や進化論について紹介することである。

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