主張

インフラ銀開業 中国の独善運営を許すな

 AIIBは、習近平政権が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」の実現という、経済覇権戦略に直結する枠組みだ。同時に、国内の過剰設備でだぶついた鉄鋼などの輸出を促す思惑もあろう。

 だが、こうした狙いが優先するようでは、国際金融機関というより中国のための銀行である。昨年の中国の貿易総額は6年ぶりの前年割れだった。てこ入れのために国益にかなう融資を増やさないかなど、懸念は尽きない。

 途上国経済が総じて低迷するなか、AIIBが実績づくりを急ぐあまり、環境や人権、採算性などに目をつむった甘い審査が横行する恐れもある。焦げ付けば、途上国の健全な発展を阻害し、世界経済にも悪影響を及ぼそう。

 日本や米国がAIIBと距離を置き、参加を見送ったのは妥当だった。金総裁は「ドアはなお開かれている」と参加国拡大の意向を示したが、今は参加のリスクを冷静に見極めるときである。

 融資案件には日本主導のアジア開発銀行(ADB)との協調融資なども含まれよう。これを通じてAIIBが適切な運営をするか厳しく監視し、国際機関にふさわしい行動を求めるべきだ。

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