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君津・祖父母殺害の高校生は「父性なき時代」のモンスターか 社会部次長・酒井孝太郎

千葉地検に身柄送検される少年=2015年12月28日、千葉県警君津署
千葉地検に身柄送検される少年=2015年12月28日、千葉県警君津署

 少年(17)は合鍵で家に入って2階に向かうと、就寝中だった祖母(64)の頭部をめがけてツルハシを振り下ろした。うまく当たらないとみるや、今度はナイフを手にして背中や後頭部をメッタ刺しにした。物音に気づいた祖父(67)が階段を上ってきて、もみ合いになった。1階に逃げた祖父を追い、倒れたところをツルハシや金づちで何度も襲った。

 そのまま近くの自宅に戻った少年は自首するまでの3日間、映画やテレビを見て過ごした。まるで何事もなかったように、「何度見ても面白い!」「後味クソ悪い」などと無料通信アプリのLINE(ライン)に映画の感想を投稿していた。

 昨年末に起きた千葉県君津市の夫婦殺害事件。年をまたいでも、その衝撃は脳裏に焼き付いて離れない。「学校の友達関係がうまくいかずストレスがたまり、解消するために人を殺そうと思いついた。相手は誰でもよかった。祖父母への恨みもトラブルもない」。こう供述した少年は、周囲から「真面目でおとなしく、手のかからない生徒」とみられていた。

 少年は母親と2人暮らし。事件当時、母親は沖縄に旅行中だったと報道されている。終業式の翌日というタイミングで突如、残虐性と異常性が牙をむいた理由を見いだそうとしても、「心の闇」という陳腐な定型句にかき消されてしまう。

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