万象

だます生き物 芽吹く虫

四方圭一郎・飯田市美術博物館学芸員提供
四方圭一郎・飯田市美術博物館学芸員提供

 一年で最も寒いこの時期、暖かい日差しと木々の芽吹きが待ち遠しい。野山を歩いても、堅い冬芽ばかりで一見つまらない。ところがよく目を凝らすと写真中央のような、どことなく奇妙な形のものが混じっていることがある。

 正体は「カギシロスジアオシャク」というガの幼虫だ。じっとして冬芽になりすまし、鳥の餌食とならずに済んでいる。

 しかも、これから樹木が芽吹いていくと、彼らもそれに合わせるかのように脱皮し、ほんのりと黄緑を帯びていく。虫としては放っておいてほしいだろうが、こんな見事な生態には見とれてしまう。(草)