1983年当時、暗黒卿はまだ「共和国」の騎士(エリート)の殿堂で、将来を有望視されていた若きジェダイであった。他方、私はフォースの存在すらしらないお日様が東から昇るのか西から昇るのかわからない(太陽がふたつある)砂漠の民だった。
ところが1985年、プラザ合意という共和国とその同盟国による協調的な政策介入の枠組みが決まった。これは最大の同盟国の都合のいいように、各国間の為替レートを誘導するというものだった。このときフォースの力はひたすら目標とされる為替レートに向かうために使われてしまい、われわれの国の経済情勢にはほとんど無縁のものになってしまう。どんどん円高は進行し、他方で国内では「バブル」が始まっていった。ちなみに「円」とは共和国通貨のことである。ジェダイたちはそれが正しい政策だと信じこまされた。なぜなら当面、とても景気がよく思えたからだ。「共和国・アズ・ナンバーワン」と絶賛する異星人まで現れた。まさかこの政策にシスたちの巧妙な陰謀が隠されているとも知らずに。シュゴ-。
いまにして思うと、このとき共和国の政策を担うものたちは、知らずに「円高シンドローム」に陥っていたのだ。やがてこの症候群(シンドローム)は、ジェダイの騎士たちすべてにり患していき、現代にまで及ぶ「デフレ不況」をもたらし続けた。なぜなら円高を好む経済政策をくりかえすと、経済全体に流れるおカネが減少していき、それはデフレ(円の不足による円の価値の上昇)をもたらすからだ。円高を好むジェダイマスターのひとりは「強い円」、すなわち円高が国を強くするといっていた。だが実際には国家は疲弊していた。失業率は恒常的に高くなり、経済格差は深刻化し、年間の自殺者数も3万人をはるかに超えた。円が不足することで、人間の命や働いて得る喜びよりも、円の価値の方が大きくなってしまったからだ。