紙おむつや炊飯器と並ぶ中国人観光客の爆買い対象といえば、化粧品。東京・銀座では、中国人観光客が観光バスで乗り付け、百貨店で日本製の化粧品を大量購入していく光景がすっかりおなじみとなっている。ところが意外なことに、日本の化粧品メーカーにとって中国は決して上得意とはいえないのが現状だ。
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「中国の風習や社員の感じ方を分かっていなかった部分があった」
資生堂の魚谷雅彦社長は中国事業についてこう反省の弁を語る。
同社の業績は悪くない。2015年4~9月期の連結売上高は前年同期比13%増の4118億円。このうち爆買いによる増収効果が約134億円もあった。営業利益も36%増の148億円と大幅に増えた。
しかし、海外事業だけをみると61億円の営業赤字。業績の足を引っ張っているのが、5年前に買収した化粧品メーカー、ベアエッセンシャルが不調な米国、そして中国だ。
中国ではここ数年、過剰在庫を抱え、収益が低迷している。日本コカ・コーラ会長などを務め、外部から招聘された魚谷社長は、昨年4月に社長就任すると改革に大ナタをふるい、在庫の買い取りを断行。在庫量は着実に減っている。