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阪神大震災発生から21年を迎えることとなった。発災1カ月後の平成7年2月の掲載紙を皮切りに、大阪市立大学宮野研究室と産経新聞大阪本社・被災地総支局が合同で開始した被災者や支援者などへのアンケート調査に基づく分析記事も今回で30回目となった。当時としては稀(まれ)なアンケート調査による定期的な紙面づくりは、当初10年続けることを目指したが結果的には20年も継続された。その原動力の一つとして、第1回調査で被災地神戸への愛着度を聞いたところ、「神戸を離れたくない」との回答が9割を示したことがあげられる。被災者が被災地にとどまって復旧・復興を目指す限り、復興が成し遂げられるという希望が見えたことに私たちは大きな勇気を得た。
その後の調査では、被災者の生活空間が避難所から応急仮設住宅、災害復興住宅へと移り変わる中で、復旧・復興への進展とは裏腹に格差が出現するという新たな課題など、大都市直下型の地震災害の実態が浮き彫りになった。そして、その背景には社会の高齢化の影響も大きかった。すなわち、わが国は震災と同時に高齢社会へと突入し、災害復興を福祉の視点も交えて考える必要が生じた。
今回の調査では、回答者の8割を超える人々が現在の借り上げ復興住宅を気に入っており、住み続ける条件に合致するか否かにかかわらず全体の約8割が住み続ける(続けたい)と回答した。このことは、仕事・生活資金・住まいについて被災前を10点として復興住宅入居直後と現状とを比較して評価を求めた設問への回答にも表れており、住まいに対する評価は高いままで推移している。