関西の議論

「狂犬病が怖い」鹿に噛まれ中国人パニック 外国人急増で奈良公園の鹿がらみ「人身事故」過去最高に

 鹿を興奮させたり、怒らせないためには「絶対にじらさないこと」と吉村さん。そもそも、鹿は「鹿せんべい」にしか興味がない。鹿が寄ってきて怖いと感じれば、「鹿せんべいをまいて手放してしまえば、離れていく」という。

「狂犬病は大丈夫か」

 外国人観光客が鹿に噛まれた時、特に中国人が心配するのが「狂犬病」だ。奈良公園の鹿に噛まれて狂犬病や感染症にかかったケースはなく、「過度な心配は不要」(吉村さん)というが、中国人の場合、狂犬病など動物を介した感染症に対する根強い恐怖心が根底にあるようだ。

 厚生労働省によると、狂犬病は日本では50年来発症していないが、中国では狂犬病による死者が2008年に2466人にも上り、現在も年間2千人を超えているとされる。韓国や台湾などでも、中国ほどではないものの、現在も狂犬病による死者が確認されている。

 そこで県は外国人から狂犬病に関する相談があった場合、感染症の心配がないことを英・中・韓の3カ国語で説明した文書を手渡している。ほとんどの外国人はそれで安心するというが、中には「噛まれたので病院に連れて行ってほしい」という人もおり、状態や要望に応じ、県国際課の職員が通訳として病院に同行することもあるという。

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