足尾銅山鉱毒事件を告発した明治時代の政治家、田中正造の関連史跡と渡良瀬遊水地の日本遺産認定を目指す関係者が14日、栃木市内で記者会見し、発起人会を結成したと発表した。足尾銅山鉱毒事件をめぐる遺産が認定されることで、歴史的な意義を普及させたい考えだ。2月28日に設立総会を開き、関係市町と連携して認定を目指す。
認定を目指すのは、田中正造の遺骨のある田中霊祠(栃木市藤岡町)や渡良瀬遊水地となった旧谷中村の粘土などで造られた国指定重要文化財の野木町煉瓦(れんが)窯などを想定している。
発起人代表の高際澄雄・宇都宮大名誉教授は会見で「鉱毒問題の深刻さや人々の苦悩の大きさを後世でも学ぶべきだ。一帯は自然が豊かな場所としても価値がある」と強調した。
日本遺産は、地域活性化のため、文化庁が有形、無形の文化財をテーマごとに一括認定するもので、平成27年度は18件認定された。東京五輪が開かれる32年までに計100件の認定を目指しており、高際氏は「できるだけ早く準備を進めないと狭き門になる」と懸念する。
申請者は市町村となっているため、同会は栃木市など関係する4市2町を中心とした自治体に直接働きかけ、観光資源などとしての活用も見込んで連携を求める。来年2月の申請、4月の認定を目標としている。