姜研究員は「過労死・過労自殺は、労使関係や労務管理に加え、社会環境を条件にして発生する日韓共通の問題だ」と分析。その上で「韓国の弁護士や医師などの専門家は、日本の過労死防止法に学ぼうとしている」と明かした。
ワーカホリックの国
日本の過労死防止法は、正式名称を「過労死等防止対策推進法」という。超党派の議員立法で、全会一致による可決・成立を経て、14年11月に施行された。
過労死・過労自殺の防止対策を国の責務で進めると位置づけており、国は調査研究、啓発、相談体制の整備、民間団体への支援の計4項目に取り組むと明記。事業主は協力し、国民は関心と理解を深めるという努力義務も定めている。
15年7月にはこの法律に基づく大綱が閣議決定され、将来的に過労死・過労自殺をゼロとすることを目指し、20年までに週60時間以上働く人の割合を5%以下とするなどの数値目標が設けられた。
こうした先例に学ぼうと、ソウル地方弁護士会は15年9月、日本の研究者と弁護士、遺族を招いて過労死防止法に関するシンポジウムを開いた。
主催者側の鄭秉郁(チョン・ビョンウク)弁護士は、韓国のインターネット新聞「オーマイニュース」に市民記者として寄せた記事で「韓国は世界から『ワーカホリック(仕事中毒)の国』と皮肉られているが、勤勉で責任感が強い労働者が過労死・過労自殺をするのを放っておくことはできない」と強調。「疲労の蓄積やストレスによる労働者の死亡や家庭の破綻といった被害を、政府が政策で防止することが重要だ」と指摘している。