話の肖像画

世界エイズ・結核・マラリア対策基金局長 國井修(4)世界の現場を飛び回る

竜巻が起きたバングラデシュで=1996年(本人提供)
竜巻が起きたバングラデシュで=1996年(本人提供)

 〈国際医療を志してから、これまでに訪れた国は120カ国以上。その中には、天災などで大きな被害を受けた国も多い〉

 平成8(1996)年、日本政府の国際緊急援助隊医療チームの一員として、バングラデシュの竜巻災害の現場を訪れました。チームとして2週間で1千人近くを診ましたが、多くの住民が鋭い刃物で切られたような傷を負っていた。原因は、貧しい農村で雨風をしのぐために使われていた安価なトタン板です。竜巻の風とともに時速200キロで飛んできて、多くの住民が命を落とし、負傷しました。

 しかし復興に取り組み始めた住民たちは、またトタン板で家を作り始めた。安く頑丈な建材を使いたい気持ちは分かりますが、また竜巻が起きたら…。災害対策の難しさを感じました。

 国連児童基金(ユニセフ)のミャンマー事務所に赴任していた20(2008)年には、死者、行方不明者14万人以上という甚大な被害を出したサイクロンを経験しました。スマトラ沖地震の津波で被災したインドネシアなど多くの現場を経験しましたが、私にはそれらを超える惨状に見えました。軍事政権は当初、海外からの援助を受け入れず、1カ月たっても遺体が放置され、被災者に支援が十分に届かない状況でした。

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