話の肖像画

世界エイズ・結核・マラリア対策基金局長 國井修(3)ソマリアは日本の僻地

 今度は医師として行くのだからやれるはずだと思った。しかし、美しかった首都モガディシオは内戦によって変わり果てていた。家は弾痕で蜂の巣状態、子供は極度の栄養不良で、以前の難民キャンプより悲惨な状況でした。目の前の患者を治しても食糧不足による栄養不良はなくならず、衛生状態の悪さからさまざまな感染症が広がってしまう。紛争という問題を何とかしなければ、根本的な解決にはつながらない。医師としてできることの限界を感じました。

 平成22(2010)年からは国連児童基金(ユニセフ)の保健・栄養・水衛生事業部長としてソマリアで3年間、働きました。大干魃(かんばつ)、飢餓、コレラ流行など多くの緊急事態に見舞われましたが、絶望視はしませんでした。確かにソマリアには多くの課題があり、物質的な貧しさがありますが、それを超える人々のたくましさ、精神的な豊かさがありました。3度目のソマリアも大きな挑戦でしたが、私の人生ではどうしてもやりたかったミッション。大きな学びと成長を与えてくれました。

 地域に入り込み、地域の人々とともに考え、一緒に取り組まないと解決できない問題がある。私にとって、ソマリアは日本の僻地の延長線上にありました。(聞き手 道丸摩耶)

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