農水産物や食品の名称を国が地域ブランド(知的財産)として保護する「地理的表示保護制度(GI)」の第1回登録に、稲敷市など特産の「江戸崎かぼちゃ」など7品目が選ばれた。夕張メロン(北海道夕張市)、神戸ビーフと但馬牛(ともに兵庫県)など名だたるブランド品と肩を並べての登録となり、地元の生産者らは「高齢化で担い手不足が進むなか、若手の新規就農にもつなげたい」と期待している。(篠崎理)
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JA稲敷などによると、江戸崎かぼちゃは昭和41年に7人の農家が70アールで栽培を始めた。着果してから他の産地より約10日長い55日以上、木にならせておき、完熟してから収穫するためホクホクした食感が人気という。市場では他のカボチャの約2倍の高値で取引される。
現在はJA稲敷南瓜(かぼちゃ)部会の29戸が約28ヘクタールで栽培し、昨春は主に首都圏に出荷した。中村利夫部会長は「栽培を始めたころは、他の産地に押されて市場がなかなか受け入れてくれなかった。そのまま木にならせていたら完熟して甘くおいしくなった」と、江戸崎かぼちゃ誕生の秘話を明かす。
JA稲敷は昨年6月に登録を申請。農水省の現地調査などで完熟後の収穫へのこだわりや、出荷前の全品検査で高い品質を保っていることが評価された。登録産品は国のお墨付きであるGIマークを使用して販売でき、ブランド品としての価値が上昇。新規の販拡に役立つほか、消費者が商品に関心を持つきっかけにもなる。
中村部会長は「登録は大変光栄。半面、消費者も厳しい目で見てくるので、それに応えられるようおいしいものを作りたい」と喜びを話している。
県内からは、「つくば銀杏(ぎんなん)生産組合」(石岡市)も、同制度に申請を出している。