浪速風

「成人の日」は禁酒にすべきだ

今年も山口瞳さんが書いた「成人の日」の新聞広告を借りる。「二十歳になった諸君は、七十歳まで生きられるとして、あと五十年の歳月がある。君達の持時間は五十年間だ。ああ、何という豊饒(ほうじょう)の歳月であることか」。男女とも平均寿命が80歳を超えた現在なら、60年間ということになる。

▶それをたった一日で台無しにしてしまうとは…。和歌山市の成人式会場で新成人の男性が殴られ、頭を踏みつけられるなどして一時、意識不明になった。同じ新成人の男が傷害容疑で逮捕された。どちらも酒を飲んで、けんかになったらしい。毎年、成人式での飲酒による騒ぎが絶えない。

▶山口さんは「今日から酒が飲めるようになったと思ったら大間違いだ。酒を飲むことについて勉強する資格を得ただけなのだ」と説いた。仮免許なのだから、「成人の日」は飲酒講習として禁酒にしてはどうか。祝うより新成人が両親や恩師に感謝する日がいい。あと60年、いつでも飲める。

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