「とにかく、目立ちたい。派手なことをしたいけんね」
新成人の永元裕也さん(20)は、快く取材に応じてくれた。
名前や地区が印刷された旗や、そろいの衣装代として10万円程度を用意した。「お金に余裕はないけれど、多少無理をしても、しっかりやりたい。自分たちにとって、成人式は特別なイベント」と語った。
別の集団にカメラを向けたところ、記者自慢の口ヒゲが目にとまったらしい。「カメラのおっさんのヒゲ、茶色いぞ!」「茶色!」「茶色!」。拡声器でコールが始まってしまった。
花魁姿の女性に声をかけた。北原侑季さん(20)は「カワイイから、この格好が好き。変わったこともしてみたかった」と笑顔で、友人と記念写真を撮影していた。
なぜかカメラを手にした高齢者もいる。着飾った新成人を見つけては、撮影を繰り返す。中には、しゃがみ込んだアングルから狙う強者も。その姿はコスプレ愛好者が集まるイベントで、撮影を楽しむ「カメラ小僧」のようだ。
こうしたど派手な成人式は十数年前から始まったという。北九州市小倉北区の貸衣装店「みやび」は例年、市外も含め千人前後の若者の注文に応じ、衣装を提供する。