科学

「重力波」キャッチで原始宇宙の謎解明 「予言」から100年、直接観測へ

 重力波の観測装置は宇宙の神秘を探る新たな望遠鏡の役割を担う。ノーベル賞を昨年受賞し、同研究所長としてかぐらを統括する梶田隆章氏は「一刻も早い検出を目指し、重力波天文学を国際協力で創成したい」と話している。

地下空間に独自技術の結晶

 観測装置「かぐら」の現場を昨年11月に訪れた。国道から車で山道に入ると、ほどなくトンネルに到着。ヘルメットを着けて中へと歩いた。

 時折、自転車に乗った研究者とすれ違う。観測チームの三代木伸二准教授は「ここを走れるのは電気自動車と自転車だけ。トンネル内に排ガスがたまると体に悪いから」と話す。

 5分ほど歩くと、L字形装置の中心部である中央実験室に到着。地中なのでひんやりした空間を想像していたが、セ氏22度と暖かい。機器に悪影響を与えるほこりを徹底的に除去するため100台超の空気清浄機が稼働しており、その発熱が原因という。

 ひときわ目立つのが高さ約4メートルの冷却装置。本格稼働時には、ここに直径22センチのサファイアの単結晶でできた鏡を収納する。氷点下253度に冷やし、熱による鏡の振動を極力抑える独自の工夫だ。

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