科学

「重力波」キャッチで原始宇宙の謎解明 「予言」から100年、直接観測へ

 重力波が到達すると空間にゆがみが生じ、距離がごくわずかに伸びたり縮んだりする。そこで考案されたのがL字形の観測装置だ。中心から2方向にレーザーを発射し、先端に置いた鏡で反射して戻るまでの時間に差が生じれば空間がゆがんだと分かり、重力波の検出につながる。

 日本は99年、小型の装置を東京都三鷹市に設置し観測を開始。今世紀に入ると米国に1辺の長さが4キロ、イタリアに3キロの大型装置が完成し、高感度の観測が始まった。だが検出可能な天体現象は150年に1回程度しか起きない。地上に建設したため風や人間活動による振動で感度が低下した影響もあり、期待薄の状態が続いてきた。

日米欧の競争激化

 世界初の検出を目指す東大宇宙線研究所は昨秋、岐阜県飛騨市神岡町に大型装置「KAGRA」(かぐら)を完成させた。固い岩盤の地下に建設したのが最大の特徴で、地上と比べ振動は1%以下と少ない。3月中旬に試験観測を開始。2017年度に本格観測に入れば、1年以内に検出できるとみている。

 米欧も負けじと振動対策やレーザーを強化する改良を進めており、年内にも工事を終える。日米欧は本格観測時にほぼ同水準の性能になりそうで、競争の激化は必至だ。

会員限定記事会員サービス詳細