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「重力波」キャッチで原始宇宙の謎解明 「予言」から100年、直接観測へ

【科学】「重力波」キャッチで原始宇宙の謎解明 「予言」から100年、直接観測へ
【科学】「重力波」キャッチで原始宇宙の謎解明 「予言」から100年、直接観測へ
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宇宙の謎に挑む究極の手段

 アインシュタインが100年前に存在を予言し、宇宙の謎を解く鍵として注目される「重力波」。その直接観測に挑む取り組みが国内外で加速している。成功すればこれまで観測が不可能だった天体現象や、原始宇宙の解明に迫る大きな成果が期待されている。(草下健夫、黒田悠希)

 物体の周りの空間は、その重力によってゆがめられている。物体が動くと、空間のゆがみはさざ波のように周囲に広がっていく。これが重力波だ。アインシュタインが1916年、一般相対性理論でその存在を示した。

 重力波は人が腕を動かしても生じるが、波動が小さいため観測できない。検出可能なのは中性子星という非常に重い星同士の合体やブラックホールなど、巨大エネルギーを放つ天体現象によるものだ。

 光や電波と違って全ての物質を貫通し、減衰せずに伝わっていく。このため天体の内部や、はるか遠くの原始宇宙で発生した場合でも地球に届く。検出できれば、人類は宇宙の究極の観測手段を手に入れることになる。

成功ならノーベル賞

 米国のハルスとテイラーは79年、互いに回転し合う2つの中性子星の運動の変化から重力波の存在を間接的に証明し、93年にノーベル賞に輝いた。直接観測に成功すれば、これもノーベル賞は確実だ。

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