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今や世界一の産油国・米国がついに原油輸出を40年ぶりに解禁 その狙いとは…

 オバマ米政権は昨年12月18日、議会による2016会計年度(15年10月~16年9月)の通年予算の可決にあわせて、1975年から禁止されてきた原油輸出の解禁に踏み切った。方針転換の背景にあるのはシェールオイルの増産という米国の経済的な事情と、エネルギーを関係国に対する影響力行使の手段とするロシアなどへの警戒感だ。米議会で共和党議員を中心に輸出解禁を求める声が強まるなか、民主党が要請する再生可能エネルギーへの優遇策の継続などと一本化することで妥協が成立した。米国産原油が世界市場に出回ることで、石油輸出国機構(OPEC)加盟国など既存の輸出国とのシェア争奪戦が激しくなりそうだ。

今や世界1位の産油国

 「40年間におよんだ原油輸出禁止は米国の雇用を犠牲にし、イランやロシアのような輸出国の力を強めている」。共和党の上院トップ、ミッチ・マコネル上院院内総務(73)は予算可決直前の12月17日の声明で原油輸出解禁の意義を訴えていた。

 米国の原油輸出禁止のきっかけは、73年にOPECが第4次中東戦争でイスラエルを支持した米国の牽制(けんせい)を狙って打ち出した原油減産や米国への原油輸出禁止だった。OPECの動きがガソリン価格の高騰などのオイルショックを引き起こしたことに対抗し、米国としても原油輸出禁止で米国産原油の国外流出を止めることで、米国内のエネルギー価格を安定させるとの期待があった。

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