iRONNA発

「よど号事件」とは何だったのか 9人が味わった理想と現実 椎野礼仁(編集者)

 「よど号事件について執筆を」という編集部の依頼文の中に、いくつかの執筆希望項目があった。その最初が「過激なテロリストを生みだした社会背景」であった。うーん、ここで私は考え込んでしまう。テロリストと言う言葉に、違和感を覚えるのだ。(iRONNA

 実は、この違和感は、よど号だけについて感じるわけではない。政治的な事件で暴力性が伴うものをすべてテロという言葉で一括りする昨今の風潮に、「違うんじゃないかなぁ」というかすかな苛立ちを覚えるのだ。

 本筋から離れるので、詳しくは書かないが、日本で言えば、1960年の、山口二矢という17歳の右翼少年による、日比谷公会堂壇上での社会党委員長・浅沼稲次郎への刺殺のように、ほかに手段を持たない(と思い詰めた)個人、ないし少数者が、暴力(多くは暗殺など)で政治目的を達しようとする行動がテロだ。圧倒的な専制政治を敷いたロシアの皇帝に対して、若き過激派グループが、その馬車に爆弾の投擲を企図する……そのような営為が典型で、今日の使われ方より、うんと意味が狭い。いや、意味が狭いというより、全く別の概念と思ったほうがいいだろう。

 話しは戻る。日本で初のハイジャックをやり、北朝鮮に渡った彼ら・共産主義者同盟赤軍派の9人は、革命家たらんと志していたのであり、テロリストになろうとは、微塵も思っていなかったはずだ。

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