数学の時代(1)

乗用車がハッカーに乗っ取られる現代社会… 繰り返される暗号技術の戦いの根源こそ数学だ

 開発が進んでいる「量子計算機」と呼ばれる次世代のコンピューターが実用化されれば、RSA暗号は瞬時にして破られると予想されている。そのような事態を避けるため、高木らは常に新たな理論の構築に取り組んでいる。目下の研究テーマは、量子計算機でも破ることができないという「ポスト量子暗号」だ。

技術は日々進化

 そもそも現代の暗号の歴史は第二次世界大戦までさかのぼる。ナチス・ドイツの暗号機「エニグマ」を破ったことで知られる英国の数学者、アラン・チューリングに代表されるように、それは当初から数学者たちの闘いだった。

 ただ、数学を社会の基盤と位置づけて積極的に活用してきた欧米諸国などと異なり、純粋数学の研究を尊重する日本では数学者が現実的な課題に取り組むという発想は薄かった。

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