数学の時代(1)

乗用車がハッカーに乗っ取られる現代社会… 繰り返される暗号技術の戦いの根源こそ数学だ

 現在、広く普及している暗号技術のひとつ「RSA暗号」は、大きな整数の素因数分解が難しいことに立脚している。ふたつの素数から積を求めるのはたやすいが、その整数からふたつの素数を割り出すことは困難という、数学の原理に基づいているのだ。

 最新の技術では約600桁の整数を使っており、スーパーコンピューターでも計算に数万年もの時間がかかることから、実質的に暗号を破ることはできないとされている。

国家機密も丸裸

 近年、ほかにも「楕円(だえん)曲線暗号」や「ペアリング暗号」などが知られている。いずれも高度な数学が応用されているが、完璧に安全だと証明されているわけではなく、解読技術といたちごっこの状態だ。

 高木は「もし広く普及している暗号技術が破られてしまうと、国家機密から個人情報までが一夜にして丸裸になることもありうる」と危機感を隠さない。

会員限定記事会員サービス詳細