相撲よ 第2部(中)

「改革するところを間違えるな」脚本家の内館牧子さん(67)

取材に応じる内館牧子さん=東京都内
取材に応じる内館牧子さん=東京都内

 今年が相撲界にとって勝負だと思う。何としてもいまの人気を一過性のブームで終わらせてはいけない。11月の九州場所で閑古鳥が鳴いていたら、もう立ち直れませんよ。危機感を持って、今のうちにいろいろな手を打っておかないと。

 新しい理事長には、「改革するところを間違えると客は一気に引きますよ」と言いたい。

 「21世紀の世の中はこうなんだから、こういうのは古い」という意見の中に正論はある。ただ、保守すべきところなのに、時代や世論に合わせて改革せよと言ってくる場合もある。そこを間違えると相撲が相撲ではなくなってしまう。

 だいぶ前に、ある有識者が「立ち合い変化は良いじゃないか。あれは奇襲なんだ」と語った。

 たしかに奇襲だが、相撲の美意識とは相容れませんし、変化には明文化されていない最低限のルールがある。自分より下の番付の者にはやらない、自分より体の小さなものにはやらないなど。

 当事者がブレると、相撲はやがて重量別となり、まわし姿でなくトランクスを履くようになりうる。そして東西の花道から音楽に乗って入場するようになるかもしれない。そうなったときにはそんな意見を述べた人たちがみんな相撲から逃げていますよ。

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