五輪エンブレム見直し

再び似たものあったらどうなる? 商標権と著作権2つのハードル

五輪エンブレムめぐる経過
五輪エンブレムめぐる経過

 新エンブレムの最終候補に選ばれた3、4作品は、国際商標登録などの手続きを経た上で最終選考に進む。しかし、前回のように「類似した作品」が見つかった場合はどうなるのか。他のデザイナーから著作権侵害を訴えられるケースもゼロとはいえず、乗り越えなければならないハードルはなお多い。

 佐野研二郎氏がデザインし、白紙撤回された旧エンブレムのケースでは、最終審査の後、類似するデザインがすでに商標登録されていることが判明し、2度にわたる修正が図られた。修正作業は大半の審査委員に伝えられないまま、組織委の担当者が独断で行い、審査委員の反発を招いた。さらに発表後にはベルギーの劇場のロゴデザイナーが「驚くほどに似ている」と指摘。著作権侵害で提訴されるなどの波乱を招いた。

 今回は最終候補となった3、4作品は、事前に国際的な商標調査を実施。類似作品が見つかり、微調整をしても商標登録が不可能な場合には、基本的に「落選」とする方向で調整が図られている。前回は佐野氏の作品1点に絞った後に商標調査をし、対応が行き詰まったことへの反省を踏まえた対応だ。

 商標登録が完了した作品については、事前にホームページなどで公開。国内外のデザイナーから「自分の作品に酷似している」と指摘がないか、インターネット上などで「パクリ疑惑」が指摘されないか-などを調べ、著作権上の問題にも配慮したい考えだ。

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