浪速風

水爆実験によって生まれた「ゴジラ」

昭和29(1954)年11月に公開された「ゴジラ」は「水爆大怪獣映画」と銘打たれた。水爆実験によって海底に潜んでいた太古の恐竜が変異したという設定だった。その年の3月に米国がビキニ環礁で行った水爆実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」が放射能を浴びて帰港し、日本中が騒然となっていた。

▶新年早々、衝撃的なニュースが飛び込んできた。北朝鮮が「初の水爆実験に成功」と発表した。核融合反応を利用した水爆は、核分裂反応である原爆の数百倍もの破壊力があるという。米国が水爆を開発したのは、ソ連が原爆実験に成功したからである。以来、核開発競争はエスカレートしてきた。

▶人類の恐怖は天井から一本の毛でつるされた「ダモクレスの剣」に例えられる。まして独裁者が手にするのはあまりに危険だ。原爆も水爆も被爆体験のある日本人には、ゴジラの叫びはもの悲しく聞こえた。北朝鮮に核開発を断念させる。その先頭に立つのはわが国しかない。

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