正論

自縄自縛の歴史解釈から脱し、中韓の理不尽な主張に究明された事実発信で対抗せよ 渡辺利夫

 去年は戦後70年だった。9月には「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」なるものが北京で開催、大規模な軍事パレードが挙行された。天安門の楼上でパレードを見守る習近平国家主席をプーチン露大統領、朴槿恵韓国大統領、潘基文国連事務総長らが取り巻く異様な光景であった。

 ≪中韓で再生産される過去の記憶≫

 個人の人生においても国家の歴史においても凄惨(せいさん)なできごとが時に起こりうる。戦争はその最たるものであろう。しかし、戦争の悲劇も時間の経過とともに人間の記憶からは次第に薄らぎ、やがて消滅していくというのが人生の真実であり歴史の経験則である。ところが、中国や韓国では時の流れとともに過去の痛ましい記憶がいよいよ鮮やかなものとして再生産されている。

 戦争がいかに悲惨であっても、当事国がいつまでも啀(いが)み合っているわけにはいかない。勝者と敗者の間で戦争処理のための条件交渉がなされ、国際条約を結んで新しい国家関係を出発させるというのも歴史の経験則である。

 事実、日韓では1965年の基本条約や請求権協定が合意され、日中では72年の共同声明を経て78年に平和友好条約が締結された。前者では韓国の日本に対する請求権の一切が「完全かつ最終的な解決」をみたことが文書化され、後者では「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉」が明記された。