てんかんなど「運転危険」診断、近畿2府4県で医師届け出1件のみ 改正道交法で新制度創設後

てんかんに関する主な事故と法改正の経緯
てんかんに関する主な事故と法改正の経緯

 てんかんなど意識障害の病気が原因の交通事故が相次ぎ、医師が任意で診断結果を警察側に届け出ることができる新制度を盛り込んだ改正道交法が平成26年6月に施行されて以降の1年間で、近畿2府4県でてんかん診断の届け出が1件にとどまることが5日、各府県警への取材で分かった。てんかん患者は全国で約100万人いるとされ、法改正後もてんかん発作などが原因の重大事故が各地で発生しており、新制度の事故抑止効果に疑問が残る形となっている。

 警察庁によると、改正道交法が施行された26年6月から27年5月までの1年間、てんかんや認知症など病気全体の届け出は全国で184件あった。警察庁は病種別の件数を明らかにしていないが、近畿の6府県警によると、計13件の届け出があり、てんかんは1件だった。近畿では認知症が6件で最も多かった。

 法改正以前は、警察側が病気の有無を把握するには運転手の自己申告に頼るしかなく、無申告のてんかん患者による事故が各地で相次いだ。23年4月には栃木県でクレーン車の運転手が発作を起こし、小学生の登校の列に突っ込んで6人が死亡。24年4月には京都・祇園で、軽ワゴン車の運転手が発作で暴走し、歩行者19人を死傷させるなどした。

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