環球異見

強気の中国に批判続出…シンガポール紙「東南アで急速に支持失う」 米WP紙「言論の自由奪うパワープレー」

 地域の安全保障や世界経済への影響など、国際社会は今年も中国の動向から目が離せそうにない。こうした予測を先取りするかのように昨年末の米国やシンガポール紙は、言論の自由への抑圧や東南アジア諸国で信頼を失っている現状を取り上げて中国の政策に批判的な論評を相次いで掲載した。当の中国からは景気減速懸念を視野に入れつつ、「自信は疑念より強大」と各国の見方に反発、自国民を鼓舞するような主張が打ち出された。

 □ストレーツ・タイムズ(シンガポール)

 ■東南アジアで急速に支持失っている

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は昨年、一部加盟国が領有権で中国と対立する南シナ海問題に揺れた。中国は抗議を無視してスプラトリー(中国名・南沙)諸島で人工島を造成し、巨大滑走路も建設して軍事拠点化を進めた。米国は、中国が「領海」と主張する人工島周辺に艦船を通過させ、「航行の自由」を守る示威行動に着手。ASEANは米中という大国間の対決に巻き込まれつつある。

 昨年12月17日付のシンガポール英字紙ストレーツ・タイムズは、「東南アジアは急速に中国の非友好地域になりつつある」との見出しで、ロンドンを拠点にASEANを研究するロブ・エデンス氏の論評を掲載。現在の南シナ海の状況を、第一次世界大戦時のベルギーのフランダース地方や冷戦時代の東欧と重ね合わせ、「まだ比較的平和ながら、米中による激しい対決が起きている」と指摘した。

 米中は、直接対決を避けているようにも見える。中国は「一帯一路」構想を掲げ、この地域で道路や鉄道などのインフラ投資を通じ影響力を示している。一方の米国は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で自由貿易や投資におけるルールを確立しようとしている。

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