【甲信越の申】神の使い「見ザル聞かザル言わザル」 富士吉田・北口本宮冨士浅間神社 - 産経ニュース

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甲信越の申

神の使い「見ザル聞かザル言わザル」 富士吉田・北口本宮冨士浅間神社

 今年の干支(えと)、申は病や厄が「去る」という語呂合わせからも縁起がよい年とされ、サルは信仰の対象にもなってきた。12年に1度の主役はヒトと生物学的にあまりにも近い。人間に負けず劣らずの存在感を示す甲信越のサルや神話、サルにかかわる人を紹介する。

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 動物が神か神の使いとなって民の前に登場する神話が各地に残る。全国の社寺をみると、福岡県太宰府市の太宰府天満宮は牛、岡山県和気町の和気神社はイノシシ、京都市の鞍馬寺はトラが祭られている。富士山の女神「木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)」を祭神として富士山信仰と深く関わり、富士山吉田口登山道の起点になっている「北口本宮冨士浅間神社」(富士吉田市)の神の使いは、今年の干支「申」とされる。

 本殿西側の登山道入り口近くに、神々を祭った9つの●があり、このうち「日枝社」には、富士山の神の使いである申の彫刻像3体が収められている。像は高さが各50センチほど。普段は公開していないが、同神社権禰宜(ごんねぎ)を務める高阪(こうさか)雄次さん(26)によると、毎年1度だけ、5月5日の「お初申祭」で特別に公開している。

 当日は神事のあとに本殿前の特設●に安置して、お供えをして、訪れた人々が祈る。3体は「見ザル聞かザル言わザル」であり、悪いことは見ることも聞くことも、話もしないが、民の願いを聞き、神に告げる。高阪さんは「祭神は農耕、特に養蚕に対してご加護が篤く、農耕が始まる時期に例祭の『お初申祭』が選定されたと考えられます」と説明する。当初は「お初申祭」の日を旧暦4月最初の申の日と定めていたが、日が一定でないことから、明治42年に5月5日を「お初申祭」の日とした。

 さらに社記によると、6代目孝安天皇即位92年の年に、それまで雲霧に包まれて見ることがなかった富士山が突然、姿を現したと伝えられる。世に富士山の存在を示した、この年が「庚申(かのえさる)」であったとしている。同神社は古くから申の年、申の日を縁起として例祭を行い、60年に1度の「庚申」年には「ご縁年」として式年大祭を行っている。近年のご縁年は昭和55年だった。

●=示へんに土