広角レンズ

幕末、明治とどめた古写真 学問として解読、語り始める歴史

昨年2月、東京・日暮里にオープンした「湿板写真館」は、その名の通り湿板でポートレートを撮影してくれる日本でも希少な写真館(キャビネサイズ1万5千円、要予約(電)03・5814・8914)。同館を経営する写真家の和田高広さん(52)によると、数年前に湿板撮影が可能な古い木製カメラを入手したのがきっかけで、戦前からのレトロな町並みが残る日暮里・谷中地域の町おこしに貢献したいという思いもあって開業に踏み切ったという。

すでに失われた技術だけに、ガラスに塗る薬剤の調合やライトの当て方、撮影後の現像処理など、初歩から手探りで試行錯誤を繰り返す必要があった。「始めてからも5回に1回は失敗。思った以上に手間が掛かった」

和田さんは湿板写真の魅力について「何と言っても、デジタルともフィルムとも違う黒の濃さ。普通の黒ではなく、密度の濃い締まった重みがある」と話している。

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