石油元売り4位のコスモエネルギーホールディングス(HD)が業界再編で出遅れ、窮地に立たされている。首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラル石油が経営統合で基本合意し、2位の出光興産も5位の昭和シェル石油と合併で合意した。石油元売りが2強に集約されるなか、規模で見劣りするコスモHDの経営環境は厳しさを増す。なぜコスモHDは再編で取り残されたのか?
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「他社とのアライアンス(提携)は、さまざまな選択肢がある」。出光と昭和シェルが合併を発表した4日後の2015年11月16日。コスモHDの首脳は都内で記者団にこう語り、合従連衡を模索していることをにおわせた。
しかし、それから約2週間後の12月3日。今度はJXHDと東燃ゼネラルが経営統合を発表。コスモHDの選択肢は、あっという間に狭まっていった。
少子化や低燃費車の普及などでガソリンなど国内の石油需要が低迷。需給バランスが崩れるなか、経済産業省は各社に生産能力の削減を迫っていた。さらに原油安が各社の業績を圧迫し、業界再編は待ったなしの状況だった。
だが、首位のJXHDと2位の出光を中心に進んだ再編が、「JXHDと東燃ゼネラル」、「出光と昭和シェル」の組み合わせに落ち着き、コスモHDだけが取り残された。その理由は、コスモHDの財務体質にありそうだ。