今回のKF-16改造についても、手続き上は韓国が米国にアップグレード(新バージョンへの更新)を要求し、米国がBAEに仕事を発注。完成した機体を米国が受け取り、韓国に引き渡す-という流れになる。
韓国ではBAEが落札と報じられたが、現実には韓国とBAEが直接取引するのではなく、政府間取引となる。BAEが入札に参加し10億5千万ドルで落札したというのは、その価格で引き受けるというBAE側の意思表示、もしくは口約束のレベルに過ぎず、実際は米政府が入り、後に正式な見積もり額が出されることになる。
防衛省などのFMSに関する資料では「米国が価格を見積もり、履行時期を決める。支払いは前払いが原則で、支払う側は米国内に専用口座を作って代金を入金しておく。兵器の納入完了後に米国が精算を行って代金が確定する」とある。
例え正式に契約を結んでも、その契約額は「見積額」に過ぎず、その後に米国側が実際にかかったコストなどを上乗せしてこの額が跳ね上がることは珍しくない。つまり米政府抜きで韓国とBAEが合意した落札額「10億5千万ドル」は、米政府にとっては考慮に値しない数字なのだ。
分解したら見つかった“もの”
そもそもこの計画、14年6月までは曲がりなりにも前に進んでいた。FMSによるアップグレードは、電子機器類を更新する「フェイズ1」と、AESAレーダーを搭載する「フェイズ2」の2段階からなる。13年11月には米韓の間でフェイズ1契約が結ばれ、14年6月にはKF-16が2機、韓国から米テキサス州フォートワースのBAE工場に搬入され、改良作業が始まった。