質問状は、本の内容について科学的根拠を求めたものだが、新谷氏は回答書で「私は臨床医としてこれまで30万件以上の症例を見てきましたが、腸相(新谷氏が腸の中の状態の善しあしを人相になぞらえて呼ぶ言葉)の悪い患者に共通しているのが、乳製品をはじめとする動物性タンパク質の多量摂取でした」など独自の理論を展開していた。これは新谷氏個人の意見といえ、科学的根拠とはいえない。
牛乳乳製品健康科学会議と新谷氏とのやりとりはすべて公開されており、産経新聞も平成19年12月の紙面で「『牛乳体に悪い』 科学的根拠なし」とする記事を掲載している。
しかし、松嶋さんのように、いまだに新谷氏の説を信じる人がいるのが現状だ。
有害説が生き残っているのは…
なぜ、牛乳有害説はなくならないのだろうか。
都内の大学の薬学部准教授は「牛乳を飲んで下痢をしたりアレルギーだったりする人が周りにいるので、牛乳が体に悪いという説は割としっくりくるからではないか」と分析する。
そんな中、科学者らによって、新たな検証が試みられた。
疑似科学(まがいものの科学)を検証している明治大学科学コミュニケーション研究所は、運営するサイト「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」で11月、「牛乳有害説」についての検証結果をアップした。