回顧2015文化

(8)考古学 イスラム国、シリアの神殿破壊 舒明天皇の幻の古墳?

 1400年前の飛鳥時代の首都・奈良県明日香村で、舒明(じょめい)天皇の幻の古墳かと話題になった石敷きの濠(ほり)が出土、兵庫県の淡路島では弥生時代の銅鐸が7個も見つかるなど研究者の度肝を抜く発見が相次いだ。一方、樋口隆康・京都大名誉教授ら戦後考古学を支えた学界の重鎮が死去。その樋口氏が調査に当たったシリアの世界遺産・パルミラ遺跡では、過激組織「イスラム国」(IS)により神殿が破壊されるなど、文化財の光と影が際だった一年だった。(小畑三秋)

 年明け間もない1月中旬、考古学ファンらを驚かせたのが、明日香村で発掘された大規模な石敷き遺構の濠だった。一辺50メートル以上の方墳の一部とみられ、7世紀中ごろの築造と判明。日本書紀には、舒明天皇は641年に死去し、翌年に飛鳥の「滑谷岡(なめはざまのおか)」に埋葬、643年に押坂陵(おしさかのみささぎ)に葬られたと記されている。

 押坂陵は宮内庁が指定する舒明天皇陵(奈良県桜井市)とされるが、滑谷岡の墓は全く知られておらず、歴史の空白を埋める発見として、現地説明会には約8千人が訪れた。

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