化粧品大手の資生堂が、時短勤務の売り場担当者にも夜間や土日の出勤を求めた働き方の見直しが、報道をきっかけに資生堂ショックとして賛否を巻き起こした。ただ、育児や介護を理由に働き方に制限のある社員が増える時代。いかに戦力を落とさず業務をまわすかは、社員の仕事と生活の両立支援を進める中で、どの企業も直面する問題だ。いち早く取り組む社の動きを追った。
ショックの背景
注目された資生堂の働き方見直しは2014年春のこと。全国で約1万人の売り場担当者のうち、最大2時間の時短勤務者が1100人超いる。女性が化粧品を買う書き入れ時の夕方や週末に、人手が不足するという問題が生まれていた。週末や遅番の担当が特定の人に集中し不公平感もあった。時短勤務者を「例外扱い」せずに、戦力化する必要があったのだ。
面接を経て98%が遅番や週末勤務にも入る働き方の見直しに応じた。「繁忙期に働くことは社員のキャリアアップにもつながる」と同社は説明する。
これが、報道をきっかけに反響を呼んだ。「女性に優しくない」「先進的な会社だと思っていたのに」と批判の一方で「時短者が増えると周囲にしわ寄せがいくのも事実」「男性や周囲の協力次第では」と理解の声も。賛否両論に沸いたのは、出産後も働き続ける女性が増える社会で、資生堂の悩みがひとごとではないことを物語っている。