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東北地方で江戸時代から作り続けられきた「こけし」。球形の頭に円柱の胴。それだけのシンプルな人形だが、どこか郷愁を呼び起こす。そんなこけしが今、人気を集め、戦前と高度経済成長期に続く「第3次ブーム」を巻き起こしている。「こけ女」と呼ばれる女性ファンも多い。それぞれの流行の背景を探ると、古き良き日本を見直すささやかな母国へのプライドが読み取れる。(玉崎栄次)
古くて新しい“ゆるキャラ”?
宮城県が考案した、あるキャラクターが「キモかわいい(気持ち悪いけどかわいい)」と評判を呼んでいる。その名も「こけし飛行機」-。
こけしは東北地方発祥の工芸品で、宮城県も特産として売り出している。今回は、仙台空港の利用者増を狙った観光キャンペーンのポスターに描かれたもので、宮城の特産品でもあるこけしの胴体に主翼や尾翼を付け飛行機にした新たなゆるキャラだ。
そのシュールさが鮮烈な印象を残す。反響は大きく、県は、こけし名産地の鳴子温泉がある大崎市のこけし職人に依頼し、2体の実物も製作。完成品は県庁1階で展示している。
こけしブームの到来は、宮城のみに留まらない。青森県では、「津軽こけし館」(黒石市)でこけしの通信販売を行っているが、5年ほど前には月わずか2、3件だった注文が、現在は月60件ほどまで激増しているという。