山形年の瀬記者ノート

ふるさと納税上半期1位 天童市が牽引

 山形県が日本一-。総務省が10月に発表した平成27年度上半期のふるさと納税の市町村分を含めた都道府県別ランキングで、山形県への寄付額が計50億円を突破し、2位の北海道(計42億8100万円)や3位の長野県(計35億600万円)を抑え、堂々の1位となった。牽引(けんいん)役は市町村別で全国2位の天童市。高級フルーツや将棋の駒、そば、牛肉、日本酒、高級家具とバラエティーに富んだ地場産業と、それに伴う特産品が好調の要因だ。

 ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付すると、2千円を超える分が住民税から控除される仕組み。寄付者は2千円の負担で寄付した自治体から謝礼の特典を受け取ることができる。自治体側は寄付額から特典の経費を差し引いた分が財源となり、双方にメリットがある。

 このため、全国の自治体が多くの納税を呼び込もうと特典の充実を図る動きが顕著だ。特に、今年4月からは減税対象の寄付額上限が2倍に引き上げられ、年間の寄付先が5自治体までならサラリーマンの確定申告も不要となったため、寄付金が急増しているのだ。

 ◆将棋関連V字回復

 天童市の場合、サクランボやラ・フランスといった高級フルーツなど特典のラインアップを約50点から3倍以上に増やしたほか、年1回の寄付制限を今年度から撤廃したことが功を奏した。山本信治市長は「初夏のサクランボを気に入った人が、秋にはラ・フランスを申し込むなどリピーターになっている」と、手応えを口にする。

 天童市の勢いは現在も続いており、12月半ばには20億円を超えた。前年度の総額が7億8千万円だから9カ月で前年度1年間の2・5倍を超えた計算だ。中でも、市外在住で1万円以上の寄付者全員に付けている将棋駒ストラップは予想を超える人気で、「生産が追い付かず、8カ月待ちの状態」(市長公室)だという。

 当然、他自治体の天童市に向けるまなざしも熱い。昨年までは県内の他市町村からが多かった問い合わせが、今年は九州・沖縄をはじめ遠方の市町村から目立ち始めた。寄付者や自治体の問い合わせ、取材など電話は「鳴りっぱなし」(同)の状態だ。

 ふるさと納税は税収増だけではなく、地場産業へのプラス効果ももたらし始めている。駒や将棋盤など関連商品の売上高は一昨年の1億2千万円から今年は2億円を突破するV字回復ぶり。加えて、国の支援事業による育成講座では、今年度の将棋駒の生産者の受講生が5人から9人に増えている。

 ◆本来の趣旨に合致

 地場産業振興や自治体の税収増など良いことずくめに見える同制度だが、納税の見返りに高額な特典や商品券、宝くじといった換金性のある特典を提供し、「制度の趣旨から逸脱している」と批判される自治体が全国レベルではみられるのも事実だ。総務省による全自治体へのアンケート結果でも37・4%が「自治体のPRが可能となる」と制度を評価する一方、「返礼品送付の競争となっている現状を懸念する」との回答も16・0%に上った。

 特典競争が過熱する中、「市のブランドイメージにつながるものに限定している」と王道を貫く構えの天童市。

 ふるさと納税が多様な地場産業をPRする格好の材料となっており、制度本来の趣旨に合致した好例といえる。(森山昌秀)

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