関西の議論

サメ肉のサンドはいかが? 魔法の水でアンモニア臭消えた 淡路島のご当地グルメに

 漁師にはおなじみの魚だが、あまり一般に流通する魚ではないため、体長約1メートル以下のものは捨てられるという。取り扱う仲買業者も由良港では1社だけ。業者の男性は「こちらではフカといい、泉州(大阪府南部)に出荷している。淡路島内では食べるところはないのでは」と話す。

 サメといえばすり身の材料やフカヒレというイメージがあるが、一部で肉を食べる文化もある。関西では泉佐野市など泉州方面では「洗い」にして酢味噌(すみそ)で食べるほか、那智勝浦町など和歌山県南部では干物の「いらぎ」として食卓に上る。

 新鮮な洗いは癖のない味が特徴だが、サメは体内に尿素を含んでおり、鮮度が落ちるとアンモニア臭を発するため「広く親しまれた食材」とは言い難い。一方で、尿素が腐敗を遅くする作用があり、山間部などでは冷蔵保存の技術が進んでいない時代に貴重なタンパク源として珍重されたこともあったという。

 そんなサメに堀田さんが本格的に注目したのは、淡路島で開催された27年の同セミナーで、廃棄される魚介類の活用がテーマになったためだ。セミナーには地元・洲本市の水産加工業「武田食品冷凍」も参加していた。

 ワカメや佃煮(つくだに)などの加工を手がける同社は、約20年前から上水道を処理した特殊な水を使っている。水をセラミック片入りのタンク(高さ約1メートル)4個に通し、さらに竹炭入りのタンクに流して濾過(ろか)する。武田康平社長(52)によると、この水を使えば魚介類の鮮度を保てるほか、工場内の掃除に使うと「(周囲の)生臭さがなくなった」という。

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