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浜野氏らBNEのスタッフが、挑戦することを選んだ背景には、ゲーム機市場の先行きへの危機感があった。趣味の多様化などで市場は縮小しており、新しいアミューズメント機器を充実させていきたいという思いが強かったのだ。開発しても結局、実用化されずに終わる機器もある。それに比べると、今回は厳しい日程だが、既に上がるべき舞台が用意されている。浜野氏らは波や水しぶき、魚などを効果的に表現する手法を急いで練った。
本来、10月下旬のオープンより半年程度前には決めておかなければならないレイアウトの決定は6月までずれ込んだが、その後、施設の整備は急ピッチで進む。久保氏は「皆が納得するまで議論した。決まれば速かった」と振り返る。
10月に入り、まずは社員の子供たちに試験的に遊んでもらったところ、改善点が見つかった。「海の子」では、たらいですくった魚を「いけす」に移すことができる視覚効果を試したが、子供たちにはわかりにくかった。このため、「ゲット!」という文字が出るようにした。